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院長からのメッセージ

院長からのメッセージ

私自身、乳歯のときはむし歯が多く、よく親に歯科医院に連れて行ってもらった記憶があります(私の家系は歯科関係ではありませんでした)。そのときに診てくれた先生が上手だったのか、治療自体に嫌なイメージを抱くことはありませんでした。当時、子どもだった私にとっては「歯科治療に行く=街に出かけてご褒美を買ってもらえる」というイベントだったため、どちらかというといい思い出として記憶されています。

そのあと、父の友人であった開業歯科医の方に歯科医院の裏側を見せてもらったことで、歯科医師という仕事に興味が湧きました。そこで将来は歯科医師になりたいと思うようになったのです。

中学生の頃、同居していた祖母がすでに総入れ歯で、いつも食事に困っているようでした。そのときに「祖母のように食事を楽しめない思いをしている方を助けたい」「そのために歯科医師になりたい」とより一層、歯科医師への思いが強くなったのだと思います。

無事、現役で念願の歯学部に入学したのですが、あまり受験で苦労することがなかったため、学生時代は遊びとバイト、部活(バスケットボール)に明け暮れた日々を過ごしていました。その結果、何度も留年の危機にさらされることに。運が良かったのか、奇跡的に留年することはなく、国家試験も合格し、晴れて歯科医師免許を取ることができました(学生時代を知る人たちからは、今の私の姿は意外に思われているんですよ)。

将来は「開業したい」と思っていましたが、まずは大学に残って専門分野の研鑽を積みたいと考え、「歯周病」もしくは「補綴修復(被せ物やブリッジ、噛み合わせ)」を学ぶかで迷うことに。迷った結果、補綴修復を学ぶことにし、当時の歯科補綴学第一講座(山下敦教授)に入局させていただきました。医局に入ってはじめて任された仕事は、自分たち新人医局員の歓迎会兼花見の場所取りだったことは今ではいい(?)思い出です。

医局では、学生時代の教官や部活の先輩がたくさんいて、学生生活の延長のようでありながらも、たくさんのことを学ばせていただきました。在籍3年目には、医局からの派遣ということで1年間、鳥取県の智頭町というところの診療所で働くことに。大学では主に専門分野を中心に診療していた私にとっては、この1年間で多くの経験を積ませていただいたように思います。この期間も含め、大学病院に4年在籍させていただきましたが、このときになると大抵の治療は一通りできるようになったと確信し、大学を辞めて「新たなステージに向かいたい!」と思うようになっていました(後々、それは大きな思い違いであったことに気づくのですが…)。

そんな私にある転機が訪れます。当時、たまたま父の仕事の関係でお世話になっていた、とある病院の理事長先生から「病院の改築に合わせて歯科を併設したいので、歯科医長として勤務しませんか?」とお誘いを受けたのです。大学からすぐに開業というのは厳しいと感じていた私は、ありがたくお引き受けし、病院歯科の開設に携わるという貴重な経験をさせていただくことにしました。

しかし、「大学病院の診療」という経験しかなかった私にとって、地域性の異なる病院歯科でいきなり責任者として働くことは不安でもあったのです。そのため、部活の先輩と医局の先輩に泣きつき、病院歯科の開設準備が終わるまでの半年間という期限付きで、開業歯科医としての経験を積ませていただくことにしました。押しかけ同然でお願いしたにもかかわらず、大学病院では学べなかったことをたくさん学ばせてもらい、快く引き受けてくださった2人の先輩には今でも本当に感謝しています。病院歯科を開設してからは、少しずつ地域のみなさまに認知してもらえるようになりました。

しかし、今までがそうだったからかもしれませんが、お越しいただく方々は「治療しても痛みがなくなり、噛めるようになったらおしまい」というような歯科治療を希望する方ばかり…。そのため、せっかく入れ歯を作っても、「数年でほかの歯がダメになって、また作り直しをする」という方が多いことに気づきました。このとき私は「治療して良くなった状態をどれだけ長く保たせられるか」「そのためにはどのように歯科受診をするべきなのか」ということを考えたのです。

それからは当時勤務していた歯科衛生士と一緒に予防歯科への診療体制の転換に取り組みました。このときもどこから手をつけていいかわからず悩んでいた私に、ある勉強会の先輩方からアドバイスいただき本当に嬉しかったです。できることから少しずつ取り組んでいき、治療ではなく「予防のために来院してくださる方」が増えていったことに喜びを今でも覚えています。

7年間の病院歯科勤務でいろいろなことにチャレンジさせていただき、痛感したことは、すでに病気になってしまった方へのアプローチではなく、「そもそも病気になる前の未病の状態でどれだけアプローチできるか」ということです。もちろん、有病者に対する歯科治療や訪問歯科診療の重要性も理解していましたが、もっと若いうちから(さらにいうと乳幼児の頃から)アプローチできる環境で仕事をしたいと思うようになりました。

小児期からのむし歯予防だけでなく、「噛み合わせや歯ならびの健全な育成に携わることができたら」と思いましたが、当時、病院歯科の近隣にあった小学校は1学年が10数人と生徒の数が非常に少ない状況だったのです。歯科医師になって10年を超えておりましたので、自分自身の提供したい歯科医療像も少しずつイメージができていたため、早速、この問題を解決するために開業準備に入ることにしました。

開業にあたっては、病院歯科の診療が滞りなく引き継げるように、地元出身の医局にも相談し、ありがたいことに摂食・嚥下(えんげ)を学んだ後輩が後任として赴任してくれることに。こうして2008年12月に、自分が育った操山学区の西川原という地で開業することになりました。

開業してからも「学ぶこと」が趣味といっても過言ではないくらい、より良い治療を提供できるように研鑽を続けています。私が歯科治療を行ううえで現在一番大切に感じているのは、東京都でご開業されている土屋賢司先生から学んだ「診査・診断」です。

「診査・診断」を大切にしているおかげで、ご近所だけでなく遠方からも来院していただけるようになりました。また、乳幼児の頃から継続して来院してくれる患者さまもおり、お口の健康と成長を見守ることができて嬉しく思います。開業前に思い描いていたように痛みや困りごとがなくても、予防のために定期健診で来院していただく方も増えてきました。

来院されるかたには「歯科医師が活躍しないで済むように、これからも一緒に予防していきましょうね」と時々お話をすることがあります。技術や設備の向上はもちろん、まずは治療を受ける方自身にお口の状態やこれからのリスク、治療方法について、十分理解していただくことが大切です。「一緒に治していく」という気持ちで診療いたしますので安心してご相談くださいね。

「一緒に治していく」という想いが強いため、「手っ取り早く穴が埋まったらいい」「痛みさえ取れたらそれでいいんだけど…」というようなご希望をお持ちの方には当クリニックは向いてないかもしれません。それでも、「時間はかかっても、きちんと治療したい」「治療前にしっかり説明して、納得して治療を受けたい」「これからもなるべく歯で困らないようにしたい」というような方に選んでいただける歯科医院であり続けたいと思います。そのご期待に添えるように「より良く」を追求していきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

自分でも思ってもいないような長文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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